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或る歌人の唄
『ふるさとの訛なつかし停車場の
………人ごみの中にそを聞きに行く』
何処の御仁によって遺された唄なのかは存じ上げませんが(?)、その唄に今迄に何度、この生命を救われたか、未だに覚えておりますとも。
売れない役者稼業を旅していた頃の話。
それは、夢か幻か………。
生活苦から逃れる為に、死んだつもりで都内にある寂れた一軒の飲み屋で働いていた頃。
俗に言われる、『ホストクラブ』って言うのかしらねぇ。ワタクシ、生まれつきは男の子の姿を借りてしまったものですから、仕方なく男と言うモノを演じ切るしかないものだと思ってましたから、それはそれは今から思うに大変極まりない人生観だったと思いますけれど。
でも、あんまりですわよ。ワタクシ、そもそも、馬鹿馬鹿しい理由で上京した訳では無かったのですよ?………全ては夢を叶える為。
決して、飲み屋で働くつもりで上京した訳では無いと言うのに、ワタクシにはまだ人生を諦め切れぬ想いがあると申しますのに、飲み屋で知り合った男友達が、酔いを覚ましてから帰る為と言いながら、ワタクシの下宿先を、まるでホテルか旅館の様に思われて、飲んだくれる始末。
全く、ワタクシの私的事情でお家を留守にも出来ないじゃないのよぉ!
ワタクシの青春時代を返して頂戴!
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