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2ヶ月半の恋-私と君のlove story-
これは、病弱な君と私の「love story」だ_。
10月。
私(夢菜)は、宮野中学校に転校することになった。
3年生は受験勉強で忙しくなってくる時期だ。なのに転校…。
私の父親は私が生まれてすぐに事故に遭いなくなっていた。
授業参観などの行事に、母親だけしか来ていなかったので
「父親がいないんだ」とみんなからからかわれたことがあった。
そのため母は、「父親がいなくても幸せにする」と私に言った。
それからずっと、母は毎日仕事。朝から夜まで。
炊事や洗濯などの家事は私が担当になっている。これは今もだ。
「みんな静かにー!」
朝っぱらからざわつく3-2の教室にジャージ姿の男性の先生が入って行った。
その先生の後をついて行くように、私も教室に入った。
「転校生を紹介する。山本夢菜だ。みんな仲良くしろよ」
そう先生が紹介すると、みんなは潔く「はーい」と言った。
「席は涼河の横だ。1番後ろの席ね」
先生に言われ、1番後ろの机にうつ伏せで寝ている男子生徒の横にある、
空いた席に座った。その瞬間、数人の女子が振り返り、
「涼河に近づいたら知らないから」と顔をしかめて言った。
この男子生徒“涼河”はきっと女子からモテモテなんだろうな。
休み時間。
1人の女子が話しかけてきた。その女子の名は、奈々美。
とても馴れ馴れしく話しかけてきてくれた。私的には嬉しかった。
「次、移動だね。一緒に行こう」「うん」
この子とは仲良くやっていけそうだなー。
新しい学校生活がとても楽しみだ。
移動している途中に顔に見覚えのある男子生徒がいた。
思い出した…。
中学1年生の時、家は近所でよく遊んでいた魁斗だ。
確か転校したんだっけなぁ。
「久しぶり。覚えてるかな?」そう私が言うと
「久しぶり。覚えてるに決まってるだろ。俺お前に会いたかったんだ。」
「覚えててくれて良かったー。会いたかったってカレカノかよ」
「いいじゃん」2人で笑いあった。
この2人の何気ない会話がとても楽しくて懐かしくて_。
でも、まだ私は気づかなかった、知らなかった。
奈々美が、私と魁斗の楽しげな会話に、
どこか悲しい表情を浮かべていたのを。
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