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夕日が空をあかね色に染める頃、千雪は花宮神社の拝殿の前で手を合わせていた。
「こんばんは。千雪」
「えっ!!愛理さんっ……」
「今日は早いんですね。いつも日が沈みかける頃に来るから、びっくりしました。」
「そうね。今日は、千雪に用事があったからちょっと早めに来たのよ。」
「俺に……何でしょうか?」
「付いてきて。」
くるりと踵を返す。
参道を半分くらいまで来たところで愛理が足を止める。
「愛理さん……?」
千雪が不思議に思って声をかけると、愛理はドレスのフリルをふわりと翻えして千雪の方を振り返った。
(愛理さん……⁉)
愛理は素早く胸の前で印を結び、術を放った。
「縛っ…!!」
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