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「…っっっつ!!」
(な……に……?身体が…動かない……)
参道の中央で身動きがとれなくなった千雪は、呆然として愛理を見上げた。
「あ…いり…さん……‼な…んで……」
何かに締め付けられたように、全身を圧迫されて、苦しい。
必死に逃れるようにもがく千雪を、愛理は無表情に見つめ、呪詛を紡ぎ始めた。
「黄泉の主が誘う 輪廻の道より外れし者よ 闇に沈む眼を開け 赤き死炎をその眼に灯せ」
愛理の呪詛に反応するように、夕闇に沈んでいた水晶玉が血に濡れた心臓のように輝き出した。
「あぁっ…つぅ…いぃぃっ……‼」
(炎が身体を這い上がってくる……‼)
「はぁっ……!!はぁっ……!!」
(息が……できない……)
千雪は、全身焼け付くような痛みで、意識を失いかけた。
「千雪、恨むなら親を恨みなさい。私の兄を殺した父親をっ!!」
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