リトルソング

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そんな華やかなホールのバックヤード。 鏡の前で、口紅を差している。 「今日も可愛く完成♪」 「客が来る前に、奏に挨拶♪」 鏡に向かってにっこり微笑むと、燃えるような長い赤毛をなびかせて、バックヤードのドアを開ける。 リズミカルな音楽と、キラキラと輝くシャンデリアが押し寄せてくる。 「おはよう、奏。」 愛理が声をかけると、バーカウンターの向こう側で無言でグラスを磨いていた青年が顔を上げた。 年は、20歳を少し過ぎたくらい。 長めの前髪が目にかかり暗い印象を与えるが、愛理を認めると優しく目を細めた。 「今日は、珍しく白のドレスなんだね。」 「そうなの。今日は、兄さまの命日だから……」 「そうか……愛理は、お兄さんのことが大好きだから」 奏は、フルーツの盛り合わせを愛理の隣に置いた。
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