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午前2時、祥禅寺の本堂。
床に墨で描かれた、五芒星の陣の中央に千雪は静かに座らされていた。
白装束に黒の袴をまとい、腰にはいつものように扇を挿している。
ひんやりとした空気が漂う中、千雪は火照る身体を鎮めるように瞑想する。
その時
コツッ……コツッ……コツッ……
ゴールドのピンヒールを鳴らし、愛理が本堂に姿を現した。
頭に鉄の冠をかぶり、ろうそくが2本くくりつけてある。
ろうそくの炎が赤々と揺らめく。
コツッ…コツッ…
まっすぐ千雪に向かって来る。
千雪が静かに目を開けると、愛理が五芒星の陣に足を踏み入れようとした。
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