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(後1本っ……!!)
千雪は、気を高めると天にぶつけるように声を張り上げる。
「百千眷属引き連れ引き連れっ!!
龍神は蹴立てっ!!
蹴立ててその丈千尋の大蛇となってっ!!」
ピカッ!!
雷光が冷気を切り裂く。
ゴオォォン!!
バキバキッ!!
雷が本堂の前の杉の木に落ち、巨木の裂ける音が響き渡った。
「天にむらがりっ!! 池水をかへして 失せにけりっ!!」
千雪はパチンと扇を閉じ、その場に坐した。
(消えない……)
(2本目……消えなかった……)
(俺じゃダメなのか……!!)
千雪は、再び扇を開くと大きく息を吸った。
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