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「オーナーにお褒めいただき、大変恐縮です。本日のご用件は何でしょうか?」
愛理は、やや警戒するようにオーナーの瞳を見つめ返した。
そんな愛理を見て、ふっと笑みを浮かべた潤は、デスクの前まで来るように愛理を手招きする。
デスクの上には、何気ない木の箱が置かれていた。
「開けてごらん。」
オーナーに促されて、愛理はおそるおそる木の蓋を開ける。
すると、中には手のひらに収まるような透明の水晶玉が3つ入っていた。
水晶玉は、デスクの上の鳳凰ををかたどったスタンドから放たれる光をキラキラと反射している。
なぜ、こんなものが入っているのか、愛理は尋ねるように潤を見た。
「愛理……今や君は、この雅町でトップの歌姫だ。そんな君に、ご褒美だよ。」
「愛理……君が愛してやまない、君の兄を蘇らせてあげよう。」
琥珀色の瞳を見開く愛理を、オーナーは妖しげに見つめ返した。
(兄……さま……)
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