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「私は愛理。あなたは、名前は?」
少年は、いきなり自己紹介をしてきた愛理に戸惑っているのか、パチパチと瞬きをした。
「俺は、千雪。」
愛理は、真っ赤なマニキュアが塗られた手を差し出した。
戸惑いながら千雪も手を出す。
「よろしく。」
「千雪、今のは日本の歌?声は可愛いのに、音階が渋いのね……」
「はい。謡っていう、室町時代に作られた歌なんです。」
「そうなの……私、初めて聞いたわ。私は、めっきり洋曲しか歌わないから。」
「えっ‼愛理さんも歌が好きですか?俺、逆に洋曲を普段聞かないから、聞いてみたいです。」
さっきまでの遠慮がちな雰囲気は消え、千雪は、キラキラとした瞳で愛理を見つめた。
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