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家に帰り、
お母さんに打ち合わせの件を話したら、すぐにお父さんに確認してくれた。
お父さんは、今月の土日いつでもOKだそうで、
お母さんも、あちらの都合に合わせますと、本当に大歓迎してくれている。
私のことを一番に考えてくれて、もちろん私の立場も考え、適切な判断をしてくれる、そんな両親に心から感謝している。
潤さんと出会って、結婚することになって、両親の思いや、今まで気づかなかったことが、たくさん見えてきた。
昼休みに潤さんに、"そちらの都合の良い日に合わせます"と連絡した。
"了解!"と、潤さんからの返信は夕方だった。
相変わらず忙しいんじゃないのかな?
頑張り屋さんだな、潤さん。
にっこり笑ってスマホをしまった。
幸せな気持ちのまま会社を出たところで、綾さんが待っていた。
「美緒さん!ちょっと時間、いい?」
「はい、…。」
綾さんに連れられ、近くのカフェに入った。
綾さんはすぐに話そうとせず、お互いに沈黙が続いた。
何か喋るべきかとも思ったが、綾さんの言葉を待った。
「美緒さん、私ね、潤が好きだった。
ううん、今も好きなの。
でもね、いとこだから無理かなって諦めてた。
だけど、いとこでも結婚できるし何の問題も無いの、本当は。
私、あなたが羨ましいわ、後から来たあなたに潤を持って行かれるなんて…、
私の方があなたなんかよりずっと、潤のこと好きだから!
負けない、認めないから!小さい頃から潤だけを見てきたのよ、
あなたになんか渡さないから。」
急に激しい口調で、綾さんは喋り続けた。
「綾さん!聞いてください。
潤さんを好きなのは分かります。
素敵な人ですから、好きになって当然だと思います。
でも、私も潤さんを誰よりも愛しています。
潤さんも同じ気持ちでいてくれていると思っています。
だから私も、譲れないんです!綾さんにも他の誰にも。
私、綾さんに謝ったり、諦めて欲しいとも言いません。
私も潤さんも、お互いを選んだんです。
だから、私はそんな自分を信じます。
偉そうなこと言ってすみません。
では、失礼します。」
深くお辞儀をし、伝票を持ってその場を立ち去った。
綾さんは座ったまま、声も出さずに泣いていた。
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