困惑

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「ふーん、宿敵と対決? で、言い逃げして来たと? それで、罪悪感を感じてるって? なんじゃそりゃ? 罪悪感なんか感じなくて良いの! あんた、頑張ったよ。」 「悠理?私、嫌な奴だよね?」 「はぁ?上等だよ! 恋なんて、勝つか負けるか! サバイバルなんだよ! 誰かの不幸の上に成り立っていると、言っても過言じゃないわ!」 「綾さん、泣いてた…。」 「アホか?あんた、自分が泣きたかったの?」 「イヤ!」 「正々堂々戦ったんだから、相手も納得してるわよ。それに、向こうが幸せなカップルに波風立たせてるんでしょーが!」 悠理が怒ってる。 あの時はエキサイトしたけど、帰る途中で力が抜けて、 悠理に助けを求めた情けない私。 「潤さんが聞いたら、綾さんに怒るに決まってるわよ。心配しなくていい。 あんた、何が心配なの? 聞いた限りでは立派なこと言ってたのに、やっぱりヘタレだよねぇ〜。」 「なんか不安になっちゃって、 ここを離れるとか、いろいろ考えたら…。 親や妹や友達、ジュンやおばあちゃんとも離れるのも寂しい。」 私がそう言った途端に悠理はため息を吐いて、天を仰いだ。 「あんた、早くもマリッジブルーだね。」 「マ、マリッジブルー!?」 「いろんな不安が押し寄せて来たんでしょ? 潤さんに会ってきなさいよ。 我慢しないの! 抱きしめてもらって来い! 不安とか全部ぶつけて、ワガママ言って来なよ!」 そう言った悠理は、私にスマホを差し出して潤さんに電話しろと言う。 こわっ! 大人しく従った私だが、呼び出し音が鳴ると悠理にスマホを取り上げられた。 「もしもし?すみません、美緒じゃありません。 はじめまして、美緒の友人の野崎悠理と言います。 いえ、美緒は大丈夫ですが、ある意味大丈夫ではありません。 不安になってます。 このままじゃ潤さん、美緒に逃げられますよ、 分かったら、今すぐ迎えに来てやってください。 私が引き止めておきますから、場所は桜木町のヴィンテージマンション、ん?ご存知ですか?さすが建築家ですね。 303号室ですから、よろしくお願いします。 はい、失礼します。」 「悠理…、」 「すぐに来るらしいから、待ってなさい。 泣くな! もう情緒不安定だねー、頑張りすぎだ、バカ。」 「悠理、ありがと…。」
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