2116人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふーん、宿敵と対決?
で、言い逃げして来たと?
それで、罪悪感を感じてるって?
なんじゃそりゃ?
罪悪感なんか感じなくて良いの!
あんた、頑張ったよ。」
「悠理?私、嫌な奴だよね?」
「はぁ?上等だよ!
恋なんて、勝つか負けるか!
サバイバルなんだよ!
誰かの不幸の上に成り立っていると、言っても過言じゃないわ!」
「綾さん、泣いてた…。」
「アホか?あんた、自分が泣きたかったの?」
「イヤ!」
「正々堂々戦ったんだから、相手も納得してるわよ。それに、向こうが幸せなカップルに波風立たせてるんでしょーが!」
悠理が怒ってる。
あの時はエキサイトしたけど、帰る途中で力が抜けて、
悠理に助けを求めた情けない私。
「潤さんが聞いたら、綾さんに怒るに決まってるわよ。心配しなくていい。
あんた、何が心配なの?
聞いた限りでは立派なこと言ってたのに、やっぱりヘタレだよねぇ〜。」
「なんか不安になっちゃって、
ここを離れるとか、いろいろ考えたら…。
親や妹や友達、ジュンやおばあちゃんとも離れるのも寂しい。」
私がそう言った途端に悠理はため息を吐いて、天を仰いだ。
「あんた、早くもマリッジブルーだね。」
「マ、マリッジブルー!?」
「いろんな不安が押し寄せて来たんでしょ?
潤さんに会ってきなさいよ。
我慢しないの! 抱きしめてもらって来い!
不安とか全部ぶつけて、ワガママ言って来なよ!」
そう言った悠理は、私にスマホを差し出して潤さんに電話しろと言う。
こわっ!
大人しく従った私だが、呼び出し音が鳴ると悠理にスマホを取り上げられた。
「もしもし?すみません、美緒じゃありません。
はじめまして、美緒の友人の野崎悠理と言います。
いえ、美緒は大丈夫ですが、ある意味大丈夫ではありません。
不安になってます。
このままじゃ潤さん、美緒に逃げられますよ、
分かったら、今すぐ迎えに来てやってください。
私が引き止めておきますから、場所は桜木町のヴィンテージマンション、ん?ご存知ですか?さすが建築家ですね。
303号室ですから、よろしくお願いします。
はい、失礼します。」
「悠理…、」
「すぐに来るらしいから、待ってなさい。
泣くな! もう情緒不安定だねー、頑張りすぎだ、バカ。」
「悠理、ありがと…。」
最初のコメントを投稿しよう!