困惑

13/13
前へ
/118ページ
次へ
あれから数十分経った頃、悠理の部屋のインターホンが鳴った。 「はい」」 『すみません、三上です。』 インターホン越しに、潤さんの声がした。 「はい、今開けます。」 マンションの玄関で、悠理と一緒に潤さんを出迎えた。 潤さんは、私を見ると安心したように微笑んだ。 「はじめまして、三上潤です。 いつも美緒がお世話になっています。」 「はじめまして、野崎悠理です。 先程は電話で失礼しました。 私の大事な親友がちょっと悩んでたんで、婚約者のあなたにアフターケアをお願いします。 あなたのいとこに待ち伏せされて、戦ってきたそうですから。 あっ、ご心配なく! ちゃんと、叩きのめした後みたいですから…、 まっ、詳しいことは本人から聞いてください。 では、よろしく!」 潤さんは悠理に礼を言い、私の頭を撫でた。 「はぁーっ!心配した〜。 振られるのかと思って、慌てたよ。」 潤さんが言ったので、悠理も私も笑った。 「すみませんでした、驚かせて。」 悠理も笑いながら謝った。 それから、悠理の部屋を後にした。 潤さんの大きくて温かい手が、私の手をしっかりと握っている。 駐車場に着いて、車に乗り込んですぐに、 隣の潤さんを見たら、潤さんも私を見ていた。 どちらともなく寄り添って、抱き合った。 「美緒?心配した、いろいろな。 俺は美緒なしでは無理だから、諦めて。」 そう言いながら、キスの雨が降る。 「潤さん、そんなにされたら…、なにも…考えられなくなるから…、」 「何も余計なことを、 考えられないようにしている…。」 「潤さん…。」 「美緒、好きだ、愛してる。」 「私も愛してます、誰にも負けません…」 潤さん、悠理の言った通りです。 あなたに会って抱きしめられたら、いっぺんに不安がどこかへ行ってしまった。 潤さん、もっとワガママ言ってもいいですか? 「潤さん、今夜はずっと一緒にいたい。」 「俺も…。」
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2116人が本棚に入れています
本棚に追加