ふたり

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ふたり

潤さんは優しい。 こんなに甘くて、優しい人、 他に知らない。 誰に対しても優しいのかって、思ったけど、 そうじゃない。 私は今夜も、潤さんに甘くとろけるように愛される。 熱い波が押し寄せるように、何度も何度も突き上げられて高みに昇りつめた。 それでも、まだ潤さんは私を揺らし続ける。 潤さんの荒い息づかい、私の甲高い喘ぎ声以外は何も聞こえない。 「潤さん、潤、潤っ…、」 名前を呼ぶと、潤さんが私を強く抱きしめて、 「美緒、美緒、」 と呼びながら、 さらに激しく揺さぶられる。 今夜の潤さんは、いつもより激しい?と一瞬思ったけど、 その後は、そんなことを考える余裕も無く、 私は潤さんに抱かれながら、 その激しい波について行くのに必死だった。 お互いの息づかい、甘い吐息、 滲む汗、 もう、どちらのものかも分からない、 今が何時なのか、時間も忘れて激しく求め合った。 「美緒、いくら抱いても足りないぐらいだ、 それぐらい美緒が欲しい。 他じゃダメなんだ、美緒じゃないと…。」 そう言って、潤さんは私の中で果てた。 潤さんは、私を抱きしめて離さない。 「苦しっ」 って私が言ったら、 「俺の愛は、こんなもんじゃないぞ。」 笑いながら言って、一層強く抱きしめられた。 その後、腕を緩めてキスをした。 額に、瞼に、頬に、 そして、唇に…。 不思議だな、不安なんて全く無い、 潤さんの側にいれば安心だ。 抱かれたまま、私は潤さんを見上げた。
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