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あれから数日経ち、私達は穏やかな日々を過ごしている。
綾さんには、その後会っていない。
潤さんは無理に会わなくていいと言っているから、私も自然に任せようと思う。
綾さんの気持ちを考えたら、会いたくないに決まっている。
現実の世界は、ドラマみたいに上手く行かないものだから仕方ない。
いつか時間が解決してくれると、願うしかない。
そして、いよいよ両家の顔合わせの日がやってきた。
潤さんが手配してくれた料亭で会食することになっている。
潤さんのお父さんが、実は有名な建築家の三上和人だと亜里沙から聞いた父は、極度の緊張で朝から様子が変だ。
そんなお父さんを見て、お母さんが、
「結婚するのは潤さんと美緒なんだから、あなたが緊張してどうするの?
三上和人さんだって普通の父親ですよ、お願いだから落ち着いてください!」
私と亜里沙はクスクス笑った。
「お父さん?お父さんも、なかなか素敵だから、三上和人に負けてないよ!ね?亜里沙?」
「う、うん、負けてない負けてない。」
ちょっと亜里沙の棒読みが気にはなったが、お父さんも深呼吸して、ようやく落ち着いた。
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