4/5
2107人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
あれから表面上は元気そうな三上のお父さんだったが、時々考え込むような表情を見せることがあると、潤さんが言っていた。 そんなに簡単に割り切れることでは、なかったのかもしれない。 潤さんも、お父さんがずっと命の恩人を探していると知っていた。 あちこち写真家も調べていたというぐらいだ。 必ず会えると信じていたというのに。 まさか、亡くなっていたとは想定外だったのだろう。 「なぁ、美緒。 親父が墓参りに行きたいらしいんだけどな、お父さんの。 大丈夫かな?場所とか分かるのか?」 「お母さんは知ってると思う。 籍は入ってなかったし、宇津木の祖父母も早くに亡くなったらしいから、事故当時に身寄りは既になかったらしいの。 私が小さい頃、お母さんとお寺に行ったのを覚えているわ。 たぶん、あのお寺に宇津木の墓があると思うから、聞いてみます。 それに、私も行きたいんです。」 「そうだな、俺もお父さんにきちんと報告しないといけないから、ちょうど良かった。」 「そうですね、私がもそうしたい。」 母に連絡しなきゃ。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!