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あれから表面上は元気そうな三上のお父さんだったが、時々考え込むような表情を見せることがあると、潤さんが言っていた。
そんなに簡単に割り切れることでは、なかったのかもしれない。
潤さんも、お父さんがずっと命の恩人を探していると知っていた。
あちこち写真家も調べていたというぐらいだ。
必ず会えると信じていたというのに。
まさか、亡くなっていたとは想定外だったのだろう。
「なぁ、美緒。
親父が墓参りに行きたいらしいんだけどな、お父さんの。
大丈夫かな?場所とか分かるのか?」
「お母さんは知ってると思う。
籍は入ってなかったし、宇津木の祖父母も早くに亡くなったらしいから、事故当時に身寄りは既になかったらしいの。
私が小さい頃、お母さんとお寺に行ったのを覚えているわ。
たぶん、あのお寺に宇津木の墓があると思うから、聞いてみます。
それに、私も行きたいんです。」
「そうだな、俺もお父さんにきちんと報告しないといけないから、ちょうど良かった。」
「そうですね、私がもそうしたい。」
母に連絡しなきゃ。
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