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今回のこと、母には電話で話していた。 母は、あまりの偶然に絶句していたものの、 「周はスゴイ人だったね。」 と言って笑ってた。 「潤さんのお父さんを助けてたのかー、 良かったね? ほんとに、良かった…。」 しみじみと母は言っていたな。 お墓参りは、母は行かないのかな? お父さんに気を遣って、かもしれない。 私たちだけで行こうかなと思っていたら、小坂の父から電話があった。 「美緒か?お父さんだけど。 お墓参りの件だけど、皆んなで行こうと思うんだ。お母さんも亜里沙も、お父さんもな。」 「いいの?」 「いいに決まってるさ、皆んなで行こう。 美緒のもうひとりのお父さんにね、挨拶したいから、一緒に行こう。」 「うん、お父さん、ありがとう!」 お父さんが、実の父のことまで考えてくれていると思ったら、嬉しくて、目頭が熱くなった。 結局、三上家と小坂家、そして山田のおばあちゃんも両家総出で行くことになった。 父の実家は中国地方の山間部で、自然豊かな場所だった。 日帰りは無理なので、温泉にも泊まる家族旅行となった。 ジュンはお留守番になってしまったが、なんと綾さんが留守を預かると言ってくれたそうだ。 私が驚いていると、潤さんが、 「アイツも成長したって、ことだろ?」 そう言って笑っていた。 なんだか、胸のつかえが取れた気分だった。 綾さん、ありがとうこざいます。 人同士の繋がりって不思議だな、良いことも悪いことも、繰り返しながら。 泣いたり怒ったりしながら、人は成長していくものなんだなと思い、胸の中が熱くなった。
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