家族

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やがて、亜里沙は勉強に対する意欲も無くなり、帰りも遅くなり毎日のように遊び歩いていたようだ。 そんなある日、夜遅くに両親の会話を聞いてしまった。 「なんで亜里沙は、あんな風になったんだ! 家庭教師が来て、真面目にやってたのに。 あの家庭教師と美緒がつき合ってるって話しは本当なのか?」 「いいえ、そんなことは有りません!」 「わかったもんじゃない! 妹の好きな相手を知ってて、寝取ったんだろ? 君の躾が出来て無いからだっ! 亜里沙はかわいそうな子なんだから、もっと気をつけてやってくれ。」 「ええ、でも…、」 「君も結婚しないで、 美緒を産んだんだったな。 美緒もそうならないように、気をつけろよ! 世間体もあるんだからな。」 「・・・。」 ただ悲しかっただけだ。 家族ごっこが終わっただけだ。 あれから、家族は上手くいっていない。 母は亜里沙に必要以上に気を遣っていた。 その後 亜里沙も、なんとか行けそうな大学を見つけて入学したが、勉強している様子は無い。 もっと他に行けるマシな大学はなかったのかと、父は母をも責めた。 義父は、私を嫌っている。 亜里沙が勉強せずに、今の大学にしか入れなかったのは、私の所為だと。 家族が上手くいかないのは私の所為だと、義父の背中が言っている。 私を責めることで、私の所為にすることで、 義父は自分に言い訳をしているのではないか? 私が義父と打ち解けられなかったばかりに。 それから、なんとなく 母に合わせる顔がなかった。
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