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そこにはかつて死んだはずの母の姿もある。
母さんは未だに不倫を続けているのだろうか。
親父は新聞を読みながら何やらブツブツ呟いている。
あれ以来不思議と俺は親父を遠ざけるようになった。
「フン、〇〇被告は裁判の際に私を何とかしてくださいと泣き叫んだらしいぞ。全くあれだけの事をしておいて。」
ハハッ、それあんたの名台詞じゃん。
俺が椅子に座るとそこにはいつもどおりの朝食が置かれていた。
そういえばあの時はろくに飯も食えなかったな。
それに俺の身の回りに対する見方考え方も大分変わってきた。
自然の恵みによって生き続ける事の出来る人間。
本当に人間に補完というものは必要なのか?
様々な物に恵まれているにも関わらず人間の欲は尽きる事がない。
世の中とは不思議なものだ。
このような醜い生き物ばかり生き残るなんて。
・・・相変わらず親父は何も知らないで母さんに笑顔で話しかけている。
まぁ、母さんの方は無表情に近いが。
何でこの二人結婚したんだろうな。
・・・・・!!!!何だあの男は!!?
窓の外から俺の方を見つめて誰かと連絡を取っている。
・・・・まさかな。
今更何かが起こるなんて有り得ない。
俺は自分に必死にそう言い聞かせた。
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