1.morning

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1.morning

 ─俺を見つけてくれ─。  彼はそう言っていた。自分一人ではどうしようもないと。  揺れる金属の腹の中。死にたくないと必死に訴えるように、計器達がわんわんと喚いていた。そんな中で彼も大声を張り上げる。  ─こんなことに巻き込んでごめん。でももう、このあしかいないんだ。俺を知っているのは。だから─。  下腹がひゅんと冷たくなる。もやもやとした気持ち悪い感じ。これはあれだ。ブランコに乗ったときの感覚だ。  大負けしたギャンブラーのような切迫感を加減もせずに発散させる彼を前に、関係のないことに気を取られている。  きっと彼の話が余りにも突飛だったから。なるほどと相槌を打つことも、笑い飛ばすことも出来ず、ただただ混乱していたんだろう。  ─目が覚めたら何も覚えてないと思うけど、頼む。俺を探してくれ─。  彼のいなくなった箱の中で、わたしは一人揺られていた。  泣きながら引き止めるわたしを振り切り、彼は墜ちていった。後はアルが何とかしてくれるから、と言って。  恐怖しかない。立たなくなりそうになる脚を懸命に動かして、指示されたポットへ向かう。生き残るにはそれしかない。  次、目が覚めたら何と言って罵ってやろう。今はそれだけが心の支えだった。  ─このあだけが頼りなんだ。  その鼻頭をぶん殴ってやる。
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