2nd BASE

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「ありがとうございました!」  朝練が終了し、私たちは制服に着替え直す。今日から新学期ということで、昇降口の前には新しいクラス分けが張り出されていた。 「えっと、柳瀬は……」  さてさて、自分の名前はどのクラスにあるのか。私の苗字の頭文字は“や”なので、名簿を下からなぞって探していく。 「お、あったあった。一組かー」 「え、真裕も一組? 私と一緒じゃん! やったね!」  そう言って、一人の女の子が私の横で軽く飛び跳ねながら喜ぶ。肩に掛かるか掛からないかの位置で上下にふんわりと揺れる髪は、まるでタンポポの綿毛みたいだ。 「ほんとだ、紗愛蘭ちゃんもいる。嬉しい! 一年間よろしくね」 「えへへ、こちらこそよろしく」  頬を桃色に染めて笑う彼女の名前は、踽々莉(くくり)紗愛蘭(さあら)ちゃん。私と同じく野球部に所属している。一年前に出会った頃は私たちに遠慮を見せる部分も多かったが、今ではすっかり仲良くなり、こうして喜怒哀楽を包み隠さず表現してくれるようになった。まあ怒ったところは見たことないのだけれど。 「真裕たちは一組か。残念ながら私は五組。まあ菜々花(ななか)とゆりも五組だから良っか」  頭の後ろで手を組み、ほっとした表情を見せるのは笠ヶ原(かさがはら)(さち)ちゃんだ。彼女ももちろん野球部の一員。高校に入ってから野球を始め、色々と苦労していることも多いが、最近は徐々に試合で活躍できるようになってきている。因みにここにはいないが、先ほど祥ちゃんが口にしていた菜々花ちゃんとゆりちゃんも野球部の仲間である。
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