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今年は誰かが孤立することなく、上手い具合に野球部の面々は振り分けられているようだ。……と思ったら、一人だけ例外がいた。
「ねえねえちょっと待ってよ。ウチ二組なんだけど。部の人誰もいないんだけど。……もしかして、一人ぼっち?」
「あー……。京子ちゃん二組なのか。ってことは……、そうなるね」
私は紗愛蘭ちゃんと祥ちゃんと気まずく顔を見合わせる。こればかりはどうにもしようがないことなのだが、無意識に京子ちゃんに対しての申し訳なさが芽生える。
「だ、大丈夫だよ。京子ならすぐに友達できるって。それに私たちとは野球部で会えるでしょ」
「はあ……。紗愛蘭は自分のクラスが良かったからそんなお気楽に言えるんだよ。一年生の時ですら野球部以外に新しい友達ができなかったのに、二年生でできるわけないじゃん。あーあ、ウチはこの一年、孤独な時を過ごすことになるのか……」
紗愛蘭ちゃんのフォローも効果は無く、京子ちゃんは魂が抜かれたかのように憂える。流石に友達が一人もできないということはないと思うが、ちょっと心配なので落ち着くまでは様子を見にいってあげるとしよう。
「まあまあ京子ちゃん、そんなに気を落とさないで。私たち隣のクラスなわけだし、定期的に紗愛蘭ちゃんと遊びに行くよ」
「……ほんとに? ならまあ良いか」
京子ちゃんの表情にほんの僅かながら晴れ間が差す。ひとまずは何とかなりそうだ。
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