3rd BASE

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「終わりました」  春歌ちゃんが部室から出てくる。制服からユニフォーム姿に変わったことで、胸筋や腹筋の張りがより目立つようになった。 「春歌ちゃん、様になってるねえ。やっぱり男子の中に入って野球をやってただけことはあるよ」 「そ、そうですかね?」 「うん。あ、でもこういう言い方しちゃうと、まるで春歌ちゃんが男っぽいみたいだね。心配しないで。春歌ちゃんはすっごく可愛い女の子だから。絶対モテ……」 「は? それ本気で言ってます?」 「え……?」  急に春歌ちゃんの顔つきが険しくなった。私の言葉は瞬時に遮られ、二人の間に白けた空気が流れる。しまった。態々男の子っぽいなんて表現を出すべきではなかった。 「……あ、ごめんなさい。びっくりして変な声出ちゃいました。モテるかどうかは分かんないですけど、先輩から可愛いって言ってもらえるのは嬉しいです。ふふっ」  春歌ちゃんは我に返ったかのように、朗らかな笑顔を見せる。しかしどこか曇っていた。やはり私の軽率な一言が癪に障ったのだろう。 「そ、そっか。なら良かった」  だが更なる弁解は却って墓穴を掘るだけだ。私は気を取り直し、春歌ちゃんと共に歩き出す。気色悪い寒気が背筋をなぞってきたが、微々たるものだと気付かない振りをした。 See you next base……
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