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次の日も、その次の日も。
彼は音楽室に現れなかった。
彼が来なくなってから4日間がたった、ある日の朝。
いつもより少し早めに訪れた担任から告げられた。
「4組の、柚木蒼音さんが不慮の事故で亡くなりました。」
名前も知らなくても、クラスも知らなくても、それが誰のことかなんて、嫌でもわかってしまった。
世界から、音が消えた気がした。
その日の授業には全く身が入らないまま、放課後を迎えた。
「美琴、美琴!」
沙耶の呼ぶ声で、はっと我に返った。
「大丈夫、?」
そう言われ、私はようやく、自分が涙を流していたことに気がついた。
「ごめん、大丈夫だから。」
そう言って私は、教室を駆け出し、あの場所へと向かった。
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