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『どうしてピアノを始めたの?』
『ピアノの音が美しいから。聴こえなくても、見えなくても、ピアノの音色は、肌で感じることが出来るんだ。』
『どうして第一校舎の音楽室のピアノを使わないの?あっちのほうが、高級で新しいのに。』
『ここの音楽室は、カーテンからのぞく夕日に、音が溶けていく感覚があるんだ。それに魅了されたからかな。それにね、第一音楽室のピアノはきっと、皆に愛されて、これからも使われていく。でも、このピアノは、きっと僕しか使う人がいないんだ。』
何回拭いても埃まみれになるピアノを愛しそうに眺めて、彼は今日も美しい音色を奏で始めた。
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