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ショパンー前奏曲ー
「美琴、おはよう!
さっき悠くんがね、人参丸かじりしてたの!ほんとかっこいい…。。」
「沙耶、おはよ。可愛いの間違いじゃないの?」
「違うよ、何しててもかっこいいの。テストで23点とってもカッコイイの!」
23点を暴露された酒井くん、何故だか巻き込まれてとても気の毒だ…。
「恋愛のフィルターって怖いね、そこまでなら告白しちゃえばいいのに。」
何気なく言うと、沙耶の頬がみるみるうちに赤く染まる。
「そんなの出来るわけないじゃん!美琴は恋愛したことないから分からないかもしれないけど、告白なんて簡単に出来やしないよ…」
よくわからないけど、そういうものなのだろうか。
好きです。たった4文字を伝えるだけのことが、みんな何故できないのだろう。
「美琴も恋したらわかるよ。
毎日楽しいし、世界が違って見える。
でも、私がいじいじしてる間にも、他の誰かに取られちゃうかもしれない。
そう思うとね、楽しいばっかりでもいられないんだ。」
そういうと沙耶は軽くため息をついた。
恋をすればわかる、か。
私には恋愛なんてわからないな。
好きになった人が、自分のことを好きになってくれるなんて、奇跡でも起こらない限り無理だろう。
こんな私のことを好きになってくれる人なんて現れるとも思えないし。
「あーもう、美琴ったら、また眉間にシワよってるよ。
せっかくの美人が台無し、早く行くよ!」
褒められているのに、本物の美人に言われたら嫌味にしか聞こえない。
まことに不思議なことである。
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