変奏曲

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変奏曲

「やっと授業終わった〜、帰ろ帰ろ。」 「いや、お前やっとも何も寝てただろーが。」 チャイムの合図とともに途端に騒がしくなった教室を尻目に、校門へ向かおうと階段を降りた。 「おまたせ〜!じゃあ帰ろっか」 パタパタという音を立てながら小走りしてきた沙耶と合流し帰ろうとしていると、またあの切なげなピアノの音色が聞こえてきた。 「ごめん、教室に忘れ物したみたい。先に帰ってて。」 「え、付いていこうか?」 「いいよ、今日出さないといけなかった提出物だから、職員室にもよって行きたいし、時間かかっちゃうからさ。」 そう、じゃあまた明日ね!と後ろから聞こえてくる声から逃げるように、私は駆け足で階段を上り始めた。 今度こそ、声をかけたい 今度こそ、話してみたい とりわけ音楽に興味がある訳でもないのに、ピアノの音色を聞いただけで、心の奥からふつふつと沸き上がる思いに自分でも驚きながら、私は音楽室の扉を開けた。
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