月光

1/5
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ

月光

「美琴、最近私のこと避けてない?」 交換日記を始めた次の日の朝 登校するなり、思い詰めた顔をした沙耶に捕まった。 「避けてないよ、どうして??」 そんなことを聞かれるのが心外で、私は思わず少し強い口調になった。 「最近一度も一緒に帰ってくれないし、私が話しかけても上の空じゃない。私と帰るの、嫌になった?」 「そんなことない…けど…」 「けど?」 何もかもを見透かそうとする沙耶の瞳が怖くなり、目を逸らした。 「…なんでもない。もう先生くるから、席座るね。」 彼と私だけの、甘美で不思議な空間や時間を壊されるのが怖くて、私は嘘をついた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!