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私が小学1年の時、4歳の妹は神社の階段から落ちて死んだ。
私は学校の遠足で神社に行った。神社の境内に赤い色の鳥居がいっぱい並んだ小さい神社があった。赤い鳥居の行列は不思議なトンネルみたいだった。そこをくぐると神様に会えるらしい。そんな話を妹に聞かせた。
「神社に行ってみたい。」
「おねえちゃんだけ行ったことがあるのはズルイ!」
と、妹は毎日のように言った。毎日毎日、同じことを言われて、私はうんざりしてきた。一度だけ連れて行けば満足するだろうと思った。
一度だけなら・・・
「危ないから神社に遊びに行ったらダメ。」
と、お母さんに言われていたのに。
気をつけて階段を上った。妹の手をつないで、やっと一番上まで上った。赤い鳥居が並んでいるところで、妹は喜び走り回った。夕方まで遊んで帰ろうとした時だった。妹は階段の一番上から転落した。私が手をつなぐ前に。気がついた時には、もう転落し始めていた。泣き声も何も聞こえず、ゴロゴロと転げ落ちて行くのが見えた。
「マイちゃん・・・マイちゃん・・・マイちゃん・・・」
私は何度も妹の名前を叫んだ。妹は階段の下まで転がり、仰向けになって倒れた。
「誰か来て―・・・誰かー」
私は大声で叫んだ。誰か大人が来て、妹は救急車で病院へ運ばれた。
妹はもう死んでいた。病院のベッドの上に寝かされた妹に
「おねえちゃんだけ生きてるなんてズルイ!」
と、言われた。傷だらけで顔が赤紫に腫れあがった妹に。
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