14人が本棚に入れています
本棚に追加
いつまでも妹は、私のそばから離れない。毎日のように
「おねえちゃん。お人形さんの服、着替えさせて・・・」
「おねえちゃん。いっしょにアイスクリーム食べよう・・・」
「おねえちゃん。マイに、ひらがな教えて・・・」
「おねえちゃん。公園にブランコ乗りに行こう・・・」
朝でも昼でも夜中でも、妹は急に現れて、いろいろ要求する。私が妹に逆らおうとすると、ひんやりとした冷たい手が伸びてくる。私の手首を強い力で締め付ける。
妹が死んで一年が経とうとしていた。学校が終わったら、法事があるので急いで家に帰って来るように、と母からキツク言われていた。
学校が終わって急いで歩いていると
「おねえちゃん。神社へ行こう。赤い鳥居の場所で遊ぼう!」
妹が私の腕をつかんでいる。
「今日は、マイちゃんの法事があるから。急いで家に戻らなきゃいけないの。」
私は大きな声で妹に伝えた。
「おねえちゃん。マイと神社で遊ぼう。赤い鳥居の神社で遊ぼう。」
妹は両手で私の腕にすがりつく。
「お願い。マイちゃん。明日はきっと、神社へ行くから。今はマイちゃんもいっしょに家に帰らないと、みんなが待っているんだから!」
私は真面目に妹に説明した。
「おねえちゃん。マイといっしょに神社行こう。神社の階段上って。マイといっしょに階段から落ちて・・・・マイのところに来て・・・」
妹のひんやりとした小さな手は、いつの間にか私の首を絞めている。
「やめて。マイちゃん。私、いっしょに遊んでるじゃない。マイちゃんの言う通り、いつもいっしょに遊んでるでしょ。」
私は首を締め付ける妹の手をつかんで大声で叫んだ。
「おねえちゃんと、いつもいっしょがいい。おねえちゃん。神社行こう。おねえちゃん、神社の階段上って・・・」
妹の声がだんだん大きくなる。
「おねえちゃん。マイと遊んで・・・いつまでもマイと遊んで・・・」
最初のコメントを投稿しよう!