夢枕

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 てっきり一般病棟の個室に移るものだと思っていたが、何故か碧医師は中央棟のエレベーターに乗り込んだ。  ? 「あの、どこへ向かっているんですか?」 「院長室の下のフロアにある特別室ですよ」  まぁ、措置としては仕方ないことか  そう諦念していると、碧医師は続ける。 「特別室といっても先客はいるので、そこはご容赦下さい。それから、位置上の関係で検温や食事の世話はナースではなく、院長秘書の方が中心になるそうです」 「はぁ」  特に異論はないので、頷いておく。  エレベーターの扉が開くと、その秘書らしき女性が呆れたような表情でこちらを見ていた。
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