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「それでは槙さん、また後程」
「はいはい」
ご機嫌に軽く手を振り、碧医師は去っていく。それを慣れた調子で見送ると、槙さんは「さて」と こちらを見た。
「碧からは、どの程度聞いていますか?」
「・・・特別室に移ることと、その特別室に先客がいる ということくらいです」
「そうですか」
特に感情の起伏もなく、彼女は呟く。
「特別室にいるのは、院長の姪御さんで十四歳の女の子です。何もないとは思いますが、不都合があった場合にはこちらにご報告ください」
「はぁ」
至って事務的に話す彼女の説明を聞いているうちに、特別室の扉の前へとたどり着いた。
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