夢枕

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 しかし十四歳か。まあ、難しい年齢だな  ぼんやりと考えているうちに、病室の扉が開く。と、同時に飛び込んできたのはピアノの音だった。  ・・・  弾いているのは、髪の長い少女・・・、というか女性。あれが、院長の姪という少女だろうか。  彼女は、扉が開いたのにも構わずピアノを引き続けている。 「大体こんな感じ。悪いけど、人が来たからまた後でね」  一フレーズほど弾き終えた後、スマホに向かってそう言うと、彼女は通話を終えてこちらを見た。 「取り込み中悪かったわね」 「んーん、気にしてないよ。それより、その人が例の人?」 「そう。くれぐれも、面倒には巻き込まないであげてね」 「えー?信用ないなぁ」  槙さんとのやり取りで、彼女の人柄が知れる。どうやら、難しい子ではないようでホッとする。 「はじめまして、桐生さん。私は高雫(たかしずく)日生(ひなせ)っていいます。これからしばらく、どうぞよろしく」  ここが病院だと思えないほど平和な表情で、彼女は笑った。
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