清経

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 特別室での環境はこれといって不自由もなく、同室の彼女との生活も悪いものではなかった。 「日生が迷惑かけてませんか?何かあったら、手遅れになる前に教えて下さいね」 「はぁ・・・」  一日一回、回診で来る碧医師に聞かれても、特に言うべきことは何もない。というか 「おかげさまで、こちらでは落ち着いて生活できています。むしろ、そちらにご迷惑をかけていないか心配なんですが、大丈夫でしょうか」 「ああ」  思い出したように言い淀む彼に、嫌な予感が胸を撫でる。が、彼は何でもないことのように笑った。 「毎回、貴方に会いたいという熱烈な方は二人程見えていますよ。一応、ただならぬ様子なので面会謝絶ということで通していますが、面会を希望されますか?」 「いえ・・・」  「やはり」という胸の奥のざらつきと共に答えると、何かを察したように彼は苦笑した。 「もし、また何かあるようでしたら、こちらからお知らせします。それから、同室の彼女は心理学に精通していて、腕に覚えもある悪魔のような人なので、悩みがあれば相談してみて下さい」 「はぁ・・・」  呆気にとられる桐生を残し、碧医師は去って行った。    
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