清経

14/18
前へ
/44ページ
次へ
「お恥ずかしい話、僕が襲名する時に揉め事があってね」 「あー・・・。なんか、そこら辺は面倒臭そうだね」  驚いた様子もなく彼女は呟くが、実際面倒な話であるから笑えない。 「奥さんは本家の人間なんだけど、僕は傍流。そのせいで、未だに僕を『相応しくない』って思ってる人間もいるんだ。  その筆頭が、奥さんの叔母様」 「・・・そこら辺の心理分析も面白そうだけど、止めとくわ」  下手に情を寄せたりすれば増長するのは目に見えているので、そこには頷いておく。 「多分、見舞いになんか来られたら、また小言を言われるんだろうね」 「小言で済めば、御の字だろうけどね」  呆れたようなその一言には、激しく同意するしかなかった。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加