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「下手な演舞で客足が減って、財政難になってちゃ血筋も何もないでしょ。資本主義なこの現代では、能に代わる娯楽なんて腐るほどあるし」
「危機感がない、ってことには同意しておくよ」
所詮、叔母はそういった台所事情等を知らされずに生きてきた、箱入りのお嬢様だ。現実や時代の流れを一切見ずに古いしきたりや血筋に執着できる、ある意味幸せな人間。桐生の目にはそうとしか映らない。
もっとも、自分が今まで修練を重ねて大事にしてきたものを、そんなくだらないもののために壊されたら堪ったものではないが。
「本当に。どうしたらいいだろうね」
投げやりに呟いてはみるが、解決策は見出だせない。
「まぁ究極のところ、なるようにしかならないだろうね」
日生からは、『仕方がない』と言わんばかりの答えが返ってきた。
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