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別に転生なんてしたかったわけではない。死んだらまたやり直せるなんてゲームみたいなことが出来るのなら、世界はもっと腐っているだろう。
「どうでもいいけど、エステルは色々と才能あると思うぜ?」
魔術というものはプログラミングに似ていた。 ある働きをする式を書き出し、それに別の式を混ぜて精錬・強化する事で新しい魔術が誕生する。しかも魔術の術式は、その仕組みを理解していればしているほど強くなるのだ。
「ヘリアンサス、才能なんて無意味なものだよ。 私1人に出来る事など、人が集まればできる程度のことだ」
そう言いつつもこの世界の基本知識の低さに少し驚いていた。元素という物が本当に地水火風であると信じている。私ですらウンウンオクチウムまでは知っているから元素が最低でも118まではあることを知っているのに。
「いやしかし、私はお前みたいに2つの魔術を同時に使えるやつ見たことないぞ」
「2つの魔術を同時に使えても、2人の人間が同時に魔術を使うのと変わらないわ」
実際は5,6個の魔術を同時に使えるのだが、面倒なので訂正しない。そもそも魔術を使用するために使う魔力ってなんなんのかよく分かってないし。
「ねえ、ヘリアンサス。魔力って何なの?」
その質問にヘリアンサスはきょとんとしながらも知っている答えを返す。
「そりゃお前……魔術を使うための力だろ?」
名前のままなのか。そのままヘリアンサスは続けた。
「人によって使える魔力の量に差があることから、基本的に生命力と精神力を合わせたものって言われてるな」
……生命力って何なのか。ATP合成の際に得られるエネルギーのことなのか?
確かATPを、ADPに分解することで得られるエネルギーは生物物理学的に理論値と実測値で合わないことがわかっている。つまりはその数値の差が魔力ということなのか?
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