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佐原賢治、十七歳。今年で十八歳。
顔、ぼちぼち。運動神経、まあまあ。ノリ、そこそこ。色んな意味でバレーボール部の二軍、という肩書きを言えば、この説明しづらい曖昧な人物像を、なんとなくでも想像してもらえるだろうか。
小学生の頃に一度告白された経験あり、中学校の時に親友の悪ノリに背中を押されて告白するも玉砕。一番青春華やぐと思われた高校生活では、そんなに根暗キャラじゃないと自分では思っているのだが、まさかの恋愛話ゼロ。
……で、終わるかと、思っていたのだが。
「……なぜ俺はここにいるんだ……」
スマホで時間を確認して、思わずそう呟く。日曜日、午前十時。
俺は指定された公園で、彼が来るのを待っていた。いや、本当は十時半が集合時間だったのだが、家にいてもなんだかそわそわしてしまって、こんな時間になってしまった。
どういうこっちゃ。
どういうこっちゃ。
どういうこっちゃ。
一昨日からその問いかけを繰り返しているが、いやもうホント、どういうこっちゃ。
結論から言うと俺は、あの少年の告白を、断らなかった。
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