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「……告白したの、俺だから」
「りゅ、柳之介?」
「――先に告白したの、俺だから!」
場が、凍り付いた。
それは、冗談と言うには、必死で。嘘でしょ? と茶化すには、真面目で。柳之介は顔を真っ赤にして、泣きそうな顔で、声で、俺の腕にきつく抱きついて、そう叫んだのだ。
そして島田は、ひきつった表情で。
「な、ん……え?」
それは。
異質なものを見る“目”だった。
自分と全く違う生き物を見るときの、“目”。トリックに欺かれたかのような、何者かに騙されたときに、現実を受け入れられずにする“目”。
俺も、こんな風だったのだろうか。
「柳之介! 今は……! そういう話はよせっ!」
「ちょ、ちょっと待って? それ本気で話してるの……佐原君?」
「待て島田! これは……なんというか……!!」
どう話せばいいんだ。
「ちょ、え? その子、男の子だよね? あっ、実は女の子とか? え、んん、でも…………? さ、佐原君、どういうことなの……?」
どういうことなのか。
これは、どういうことなのか。
俺の、隣には、
今にもはじけてしまいそうな、柳之介が、
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