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空虚
柊は人の気配のしない、シンとした部屋で目を覚ました。
「......居ないか」
1日経ったときは、毎日会っても飽きるよな、と思った。
2日経ったときは、家までの道忘れたのかよ、と思った。
5日経ったときは、なんかあったのかも、と思った。
1週間経った今は、早く会いたかった。
1日がすごく遅く感じる。一人暮らしは大学入学と同時に始めたし、夏休みの今はバイトだってしてる。
いつもと変わらない毎日なはずなのに。
アイツと会ってから、アイツのことばっか頭に残った。
アイツが危なっかしいから?ほっとけないから?
きっと今の自分の気持ちはそれだけじゃない。
アイツの笑顔が見たい。軽く笑ってバカなことを言われて、バカかよって返したい。
そして、アイツのことが知りたい。お前は誰なんだよ、って聞きたい。
「はやく...顔出せよ......」
部屋で独り落ち込んでるのも性じゃない柊は、紺に会うために勢いよく部屋を飛び出していった。
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