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炎天下で
「あっちぃ...」
太陽がギラギラと照りつけ、水分を含んだコンクリートがその熱を吸収し蒸発する。7月終わりのこの暑さに大学2年の大神柊は辟易していた。
大学のテストも残りわずかになり、気分転換に大学のある渋谷をふらつこうと思ったことを後悔する。
ただでさえ下水やら何やらで生臭い渋谷の裏道は暑さでより強烈なものになっていた。
扇いでも生暖かい風しか来ないそんなところを早々に退散しようとしていた頃だった。
「ん...?アイツ、平気か...?」
ビルとビルの隙間の、人一人しか通れなさそうな所に、袖を折っていないワイシャツに長ズボンという制服を着た男子が向こうを向いて立っている。
こんな暑さなのに、いくらワイシャツ1枚とはいえおかしい。肌も真っ白だった。
柊は額の汗を拭いながら小走りして彼に近づく。
「おい、お前...何してるんだ?」
少年は柊の声にピクリと反応し、くるっと後ろを振り向いた。口元はにっこりと笑っている。
「おれが見えるの?」
そう嬉しそうに聞いた彼は、すごいなーと喜んだ。
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