知らないうちに居るアイツ

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「あっ、やば...」 紺は楽しゆかそうだった顔をしかめて困った様子になる。 「どうしたんだよ」 「あ、えっと、おれって死んでる訳じゃないから、実体はあるんだけど...最近こうやって意識が保てなくなってきて...また...いつ会え...るか......わか.........」 目の前に居た紺は次第に薄れていき、声も絶え絶えになった。そして完全に消え、柊の耳には「ごめん」と言う本当に微かな紺の声だけが残った。 「アオイ?」 いつかみたいに呼んでも、返事はまた返ってこなかった。柊は今度こそ1人になった。 突然消えた紺に柊は理解が追い付かず、まだ見てないルートを1人で見て歩いた。けれど全く楽しめなかった。急に現実に引き戻された気分になる。 「......帰るか」 柊は帰り道ずっともやもやしていた。彼女を怒らせて突然帰られた時とも、友達に急な用事で約束をドタキャンされた時とも違う重さが胸にたまる。 その時は怒りや疑問が頭を占めたが、今は寂しさが一番強かった。 そういえばどうして霊体なのかも聞かなかった。聞いてほしかったのかも、触れてほしくないのかも、今となってはわからない。 またすぐ会えるだろう、そう思ってその日は終わった。 けれど1週間たっても彼が現れることはなかった。
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