空虚

3/4
前へ
/21ページ
次へ
「......なぁ、アオ...」 「シュウはさ」 家に着いて、くつも脱がず家に上がる紺を見つめて話そうとすると、すぐに遮られた。 「...なんだよ」 「友達、いないの?」 先を歩いていた紺は音もなく振り返る。その顔には何の表情も乗っていなかった。 「はぁっ!?お前いきなり俺をボッチ扱いしてんじゃねーよ」 真顔で突然何を言うんだ、と紺を睨む。 「はは、ごめん」 すこし笑顔になって、彼は言葉を続けた。 「じゃあおれと会わない方がいいと思う」 「は?なんかお前、さっきから訳わかんねぇ。それとこれとは話がちげーだろ」 「関係あるから言うんだって」 友達いるんならその子達と楽しく過ごしなよ、と軽く言って、彼はリビングに進んでいく。 「お前と、周りのやつはなんかちげぇんだよ...」 「なんか違うって、それこそ何なのさ。会って3日目、お互いのことなんて、何もわかんないだろ?」 「んなの、わかってるつーの...」 心にあった、周りのやつに感じる気持ちとは違うむしゃくしゃした感情を、恥ずかしいが隠さず伝えた。 しかしそれは紺の的を得た客観的な答えで消されてしまう。 (なんで、そんな否定すんだよ......) 柊はさらにもやもやして、腹が立ってきた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加