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「おれも、シュウと居たら楽しいと思うけどさ、だからこそ、そういうんだよ」
「ならいいじゃねえかよ、俺もお前と居るのが楽しいって思うんだから」
「はぁ......」
柊はもはや開き直って自分の感情に素直になる。高圧的に睨みながら友達でいてくださいとお願いしているようなその姿は端から見れば少しみっともないだろう。
「じゃあさ」
「なんだよ」
しつけぇな、と言いかかった柊に紺は鼻先がつくくらいの距離に迫った。
「うわっ、な、なんなんだって」
「何があっても、不幸にならないでね」
「......よくわかんねーけど、了解」
柊が近すぎる紺から目をそらして答えると、紺はすっと離れて、さっきまでの表情が嘘のように笑顔になった。
「かわいそうだなぁ、おれ暇すぎて毎日来るから、これからろくに彼女もつくれないねぇ」
「うるせ」
こうして柊はなんとか紺を手放さずに済んだが、結局事情を遮られ聞けなかったことを心に残したままだった。
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