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俺とアイツの毎日
「ふっ......ハッ...」
動く毎に額を流れる汗がきらきらと弾ける。
柊は汗ばんだ手で首をもって...
朝から筋トレに勤しんでいる。
(あんまりだらけてるとナマケモノになる)
怠けるのに特化した体をもつナマケモノを頭に浮かべながら上体起こしをする。
けれど、どうでもいいが、ナマケモノは手と足の爪でぶら下がることでしか生活できないのだから、腕と足と腹筋はバキバキなんじゃないかと思う。おまけに体も柔らかい。
運動したらナマケモノになるかもしれないと思い始めてちょうど30回目に上体を起こしたとき。
「やっほー、おはよ」
「うわっ、ビビった」
目の前に紺の顔があった。
「ほんと気配しねぇな」
「結構楽しいよ~忍者みたいで!一回体験してみたら?そこから飛び降りれば...」
「いや死ぬわ」
ベランダを見る紺からアメリカンジョークならぬ霊体ジョークが飛んできてすかさず突っ込む。
「じゃあおれが飛んでくる~」
「は!?」
ふわふわ~とベランダまで歩いていって、窓をすり抜けたら紺は本当にぴょんと飛んで消えてしまった。
(ここ5階だぞ!?)
さすがに霊体でもどうにかなってしまうんじゃないかと走ってベランダに行く。
息を飲んで下をみると、紺が元気に手を振っていた。
「はぁぁ......」
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