2日目:タケの苦悩

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2日目:タケの苦悩

キオ先輩が捻挫した 完治二週間、早くても一週間だそうだ 本番まで二週間もないと言うのにドジな先輩である そんな事を思いながら帰る準備をする 今日の練習場所はどうにも交通の便がわるい ジェヌ先輩に送られそうになったがただでさえ 行きの時に送られて疲れている とてもじゃないが送られるのはごめんだ 「タケー!路面電車までの道わかるー?」 タケと言うのは私の後輩だ 「おん、分かるぞー」 「送れ」 「おけー」 とまあ2つ返事で了解を得る その事をジェヌさんに伝えると ジェヌさんは同期の先輩方と飲みに行くそうだ 楽しそうで良かった どうにも私は邪魔な存在な気がして悲しいものだ 真夜中の帰り道タケに連れられ歩き出す タケは自転車で来ていたが歩いてくれる優しいものだ 他愛もない話をしていたら 帰るのが惜しくなって 路面電車の乗る駅を先送りにしてしまう 昨日の事がまだこたえている 僕もまだまだ心が弱い そんなこんなしていたら 路面電車の終電を逃してしまった タケはどこか嬉しそうに隣を歩いている と言うのもこのタケと言う人間 僕に彼氏が居るにも関わらず告白してきた事があるのだ 全く変な勇気だけある後輩である… まあ、もちろん断ったのだが その告白の仕方も意気地無しめ! と言いたくなるもので 縦読みしたら 「大好きだぞ」 になるものだった そんなやつと二人きりなわけで たまにこぼす言葉が 僕の彼氏への嫉妬や好きだよといった内容になっている 後ろから自転車が来た時 道の端に寄せてくれたが まるで敵に立ち向かうような立ち方だった さり気なく月の話をしてくるのも 少し考えるものが そんなやつと二人きりな状況を作る僕も酷なものだ お詫びも含め途中でコンビニに寄って おにぎりとチョコを買ってやった まあ、自分がお腹空いていたのもあるのだが 後から思ったがこの行動も よっぽど酷いものだったかもしれない 駅に着き別れを告げてホームの待合室でジュースとアイスを買う さっき買った唐揚げを頬張って終電を待つ 話し込んで一時間も歩く羽目になるとは思わなかった タケにとっては辛い事だったのかもしれないなと 思いながら電車に乗る 明日は練習が休みだゆっくりする事にしよう
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