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カタカタカタ、カタカタ。
1Rの小さな部屋。
「だぁー! また負けた……」
深いため息をついてから、俺はパソコンの電源を落とした。
俺は二宮拓真。
27歳でニートの男、もちろん童貞。
彼女いない歴=年齢――ではないが、もう何年も彼女はできていない。
9年前に東京の大学に通うため上京。
なんとか卒業まで持っていけたのはいいものの、就職先が見つからずに気づいたらこのザマだ。
今は週5でコンビニでバイトをしながらなんとか生きている。
「コンビニ行くか」
1番近くにあった薄い上着をさっと羽織り、俺は玄関を出た。
その瞬間──
「あ、れ……」
今までに感じたことの無いめまいに襲われた。
一瞬にして1人で立っていることがままならなくなり壁に手をつくが、すぐに手足の力が入らなくなる。
「やっべ──」
俺はそのまま意識を手放した。
「ここ、どこだ……?」
目が覚めてまず見えたのは天井と思われる真っ白のもの。
いつもの薄い布団ではなく、フカフカとしたベッドの上に寝ている。
ここは俺の家ではない。
だからといって実家でもないし、本当に知らない場所だ。
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