終わりの始まり

1/1
前へ
/1ページ
次へ

終わりの始まり

緊急事態。 隕石が落下してきた。 その大きさ直径0.5マイル。 直撃すれば地球に大きな被害をあたえること必定。 世界中が協力した。 結果、隕石に衛星やミサイルをぶつけて軌道を変更することに成功。 被害は逃れた。 間一髪、誰もが冷や汗を流し、手を取り合って喜びを共にした。 が、しかし……。 そんな安堵もつかの間、大隕石群が飛来。 その数……人類の英知ではすでにどうすることもできないほどの大群。 誰もがフィナーレを予感した。 そして、誰もが感じた。 流星たちが描く蒼白き無数の閃光は、絶望の中に見る最後の美しさ。 終わりからのプレゼントであると。 流星は次々に地面へ追突し、人を、歴史を、文明を、地上にあるそのすべてのものを粉々に打ち砕いた。 続く大津波、大地震、大寒波。 地上をきれいに洗い流し、地面をならし、白一色で整えた。 地球は氷河期を迎えた。 凍てついた大地、見渡す限りの無。 そう、今は無だが地表を覆い尽くす大地の凍結が解かれたそのとき、もしかしたら何かが生まれるかもしれない。 いまはただ、冷たく時を刻み続けている。 【終わり】
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加