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終わりの始まり
緊急事態。
隕石が落下してきた。
その大きさ直径0.5マイル。
直撃すれば地球に大きな被害をあたえること必定。
世界中が協力した。
結果、隕石に衛星やミサイルをぶつけて軌道を変更することに成功。
被害は逃れた。
間一髪、誰もが冷や汗を流し、手を取り合って喜びを共にした。
が、しかし……。
そんな安堵もつかの間、大隕石群が飛来。
その数……人類の英知ではすでにどうすることもできないほどの大群。
誰もがフィナーレを予感した。
そして、誰もが感じた。
流星たちが描く蒼白き無数の閃光は、絶望の中に見る最後の美しさ。
終わりからのプレゼントであると。
流星は次々に地面へ追突し、人を、歴史を、文明を、地上にあるそのすべてのものを粉々に打ち砕いた。
続く大津波、大地震、大寒波。
地上をきれいに洗い流し、地面をならし、白一色で整えた。
地球は氷河期を迎えた。
凍てついた大地、見渡す限りの無。
そう、今は無だが地表を覆い尽くす大地の凍結が解かれたそのとき、もしかしたら何かが生まれるかもしれない。
いまはただ、冷たく時を刻み続けている。
【終わり】
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