モブくんはいつも彼女さんの瞳の中

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人の顔を覚えられない病があるならば、逆も然り。 人に覚えられない病も、あるのです。 「あれ、居たんだ」 「えーっと、君、誰だっけ?」 毎日、かけられるのは同じセリフばっかり。 「あっ、名前わかんねーけど、そこのモブ野郎! パス!」 大好きなバスケットボールをする時も、こんな調子です。 なぜこんなことになってるかと言うと、僕は、生まれてすぐに、珍しい病にかかったからです。 「先生、この子の病は、なんなんですか……?」 「いやあ、これはモブ病ですね」 「モブ病?」 「はい。別名、群衆病。人に顔や名前を覚えてもらえなくなる病です。ところで、この子の名前なんでしたっけ」
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