0人が本棚に入れています
本棚に追加
人の顔を覚えられない病があるならば、逆も然り。
人に覚えられない病も、あるのです。
「あれ、居たんだ」
「えーっと、君、誰だっけ?」
毎日、かけられるのは同じセリフばっかり。
「あっ、名前わかんねーけど、そこのモブ野郎! パス!」
大好きなバスケットボールをする時も、こんな調子です。
なぜこんなことになってるかと言うと、僕は、生まれてすぐに、珍しい病にかかったからです。
「先生、この子の病は、なんなんですか……?」
「いやあ、これはモブ病ですね」
「モブ病?」
「はい。別名、群衆病。人に顔や名前を覚えてもらえなくなる病です。ところで、この子の名前なんでしたっけ」
最初のコメントを投稿しよう!