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「バカを言うな。
なぜワシが弱者の気持ちを知らねばならん。
弱者は強者に支配されるために生きている。
そうじゃろ、青い瞳のミルド人」
「違う……」
チェスターはそうつぶやくと、強く剣を握りしめた。
「オレたちが生きている意味は別のところに存在するんだ!」
チェスターは左肩の痛みも忘れ、ただイシュメルを斬ることだけを考えて走り出した。
今までずっと感じていた理不尽な現実を、この剣で打ち破りたい。
子供の頃からずっと見てきたミルドの大人たちの死んだような目を輝かせたい。
チェスターのたくさんの思いが込められた剣は、イシュメルへと最短距離で向かっていた。
もしもこの剣がイシュメルの首に届くなら、ミルド族の未来を塞いでいる黒い霧がきっと晴れる。
ただこの一撃のために自分は生まれてきた。
チェスターはそんな思いの中で、渾身の一振りをイシュメルへと振り下ろした。
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